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第10回
平成16年(2004年)6月25日 歌舞伎座
受賞者名と受賞理由
日本俳優協会賞 | 中村 歌女之丞 (なかむら かめのじょう) 選考委員の投票で、平成15年6月シアターコクーン『夏祭浪花鑑』三婦女房おつぎ、8月国立小劇場(稚魚の会・歌舞伎会合同公演)『野崎村』お光、9月柝の会公演『根引の門松』お菊、10月歌舞伎座『お染の七役』下女おその、11月国立劇場『天衣紛上野初花』新造千代春など計五役で多数の票を集めた。六代目歌右衛門の弟子として、地道に努力を重ねてきた成果が認められた。 |
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日本俳優協会賞 | 片岡 松之亟 (かたおか まつのじょう) 選考委員の投票で、平成15年7月大阪松竹座『名月八幡祭』お袋およし、平成16年1月歌舞伎座『忠臣蔵-九段目』下女りん、3月歌舞伎座『新口村』忠三郎女房の計三役で高い票を集めた。決して器用な方ではないが、長い芸歴を重ねて得た上方歌舞伎のわき役としての持ち味が認められた。 |
日本俳優協会賞 奨励賞 |
中村 又之助 (なかむら またのすけ) 選考委員の投票で、平成15年6月歌舞伎座『御所五郎蔵』土右衛門門弟ほか、9月歌舞伎座『毛谷村』杣楠右衛門、平成16年2月柝の会公演『壺坂霊験記』座頭沢市ほか計六役で票を集めた。柝の会公演などで活躍するほか、本公演においても地道に票を得ており、研究熱心で役に真摯にとりくんでいる点が奨励賞にふさわしいと評価された。 |
日本俳優協会賞 奨励賞 |
尾上 扇緑 (おのえ せんろく) 二代目尾上松緑に入門して以来、56年にわたり紀尾井町三代に仕え、舞台出演のほかに先々代・先代の書き抜きなどの資料を管理するなど、陰でその芸を伝えてきた。舞台では目立たないが、陰で支える貴重な存在としての功績が、功労賞にふさわしいと認められた。 |
※ 中村歌女之丞は博多座出演中のため表彰式を欠席、表彰式当日に博多座楽屋にて中村芝翫副会長より賞牌と副賞が授与されました。
第9回
平成15年(2003年)5月23日 歌舞伎座
受賞者名と受賞理由
日本俳優協会賞 | 市川 升寿 (いちかわ ますじゅ) 選考委員と本協会役員の投票で、平成14年5月歌舞伎座『半七捕物帳-春の雪解』のそば屋女房おひろ、9月新橋演舞場『鶴賀松千歳泰平-上意討ち』の笹原すが、15年2月歌舞伎座『義経千本桜-すし屋』の女房お米など、計三役で多数の票を集めた。 わき役としての役の幅も広く、大舞台にかなった品のある演技が高く評価された。また、成田屋の弟子を永く勤め、歌舞伎十八番をはじめとする家の芸の後見で、三代にわたり成田屋を陰で支えてきた点も評価された。 |
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日本俳優協会賞 | 坂東 橘太郎 (ばんどう きつたろう) 選考委員と本協会役員の投票で、平成14年10月歌舞伎座『仮名手本忠臣蔵-六段目』の判人源六、15年2月新橋演舞場『熊谷陣屋』の堤軍次、同じく『杜若艶色紫』の中間権平など、計三役で高い票を集めた。 第一回日本俳優協会賞奨励賞を受けて以来、毎年着実に票を得てきた。特に最近は進境著しく、わき役としてなくてはならぬ存在になり、一門を離れて活躍する場も増えて来た。また、立廻りについても後輩を良く指導し、将来、立師の一人として活躍することが期待されている。 |
日本俳優協会賞 奨励賞 |
中村 吉之助 (なかむら きちのすけ) 選考委員の投票で、平成14年4月歌舞伎座『ぢいさんばあさん』の戸谷主税、6月歌舞伎座『其小唄夢廓』の同心石垣連蔵、9月歌舞伎座『籠釣瓶花街酔醒』の若い者与助、本年3月歌舞伎座『与話情浮名横櫛』の海松杭の松五郎など、計四役で票を集めた。この一~二年得票数を確実に伸ばし、地道な成長を見せている点が、奨励賞にふさわしいとされた。 |
第8回
平成14年(2002年)6月12日 歌舞伎座
受賞者名と受賞理由
日本俳優協会賞 | 中村 吉三郎 (なかむら きちさぶろう) 平成13年4月歌舞伎座『幡随長兵衛』の保昌武者之助、9月歌舞伎座『米百俵』の召使い七蔵、10月国立劇場『敵討天下茶屋聚』の京屋番頭久七、14年1月歌舞伎座『文七元結』の角海老手代藤助、2月歌舞伎座『寺子屋』の百姓田右衛門、3月国立劇場『冬桜』の百姓六助など、計八役で高い評価を得た。どの役柄も丁寧に演じ、真実味あふれる行き届いた演技が高く評価された。 |
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日本俳優協会賞 | 中村 扇乃丞 (なかむら せんのじょう) 平成13年5月国立劇場『心中天網島』のお杉、11月歌舞伎座『封印切』の仲居およし、14年1月大阪松竹座『河庄』の芸妓小糸など、上方歌舞伎の三役で高い評価を得た。特に最近、関西歌舞伎において、上方役者の匂いをつけてきたこと、行儀も良く神妙に演じていることなど、これからの上方歌舞伎のワキ役として貴重な存在となるとの評価が高く、今回の受賞となった。 |
日本俳優協会賞 奨励賞 |
松本 錦弥 (まつもと きんや) 平成13年5月大阪松竹座『怪談敷島譚』の船頭熊蔵、8月歌舞伎座『研辰の討たれ』の湯崎幸一郎、12月国立劇場『三人吉三廓初買』の修験者実は浪人熊蔵、14年1月歌舞伎座『熊谷陣屋』の駿河次郎、3月歌舞伎座『一本刀土俵入』料理人辰吉など、計六役で高い評価を得た。このところ、進境がめざましく、すっきりとした味とほどの良さ、せりふ、姿の良さが高く評価された。得票数は群を抜いているが、芸歴も浅いので、今後の更なる精進を期待し、奨励賞となった。 |
日本俳優協会賞 功労賞 |
中村 時蝶(なかむら ときちょう) 昭和12年に、子役から三代目中村時蔵の元に弟子入りし、以来四代にわたって萬屋一家に仕えてきた。萬屋一門に限らず、この人に化粧をしてもらった経験の無い御曹司はいないといって良いほど。 最近は中村梅枝をは じめ一門の御曹司たちの乳母役兼お師匠番で忙殺され、舞台で役を演じることが少なくなったため、なかなか評価される機会がなかった。しかし、功労の大きさは誰もが認めるところで、今回の受賞となった。 |
日本俳優協会賞 功労賞 |
柳田 豊(やなぎだ ゆたか) 永年新派のわき役として活躍を続けており、初代水谷八重子の所演時から『滝の白糸』の裁判官を演じ、持ち役となっている。その他、様々な役柄を確実に演じ、新派劇の味を出せる貴重な存在。また、その誠実な人柄は広く知られたところで、この機会に是非、功を労わりたいとの理由から、今回の受賞となった。 |
第7回
平成13年(2001年)6月20日 歌舞伎座
受賞者名と受賞理由
日本俳優協会賞 | 片岡 松之助 (かたおか まつのすけ) 平成12年6月歌舞伎座『番町皿屋敷』の奴権次、10月歌舞伎座の『御浜御殿綱豊卿』の下屋敷番人小谷甚内仙、13年2月歌舞伎座の『沼津』の荷持安兵衛など、計四役で高い評価を得た。いずれの役にもそれぞれの役の匂いと味を出し、主役をもり立てている。上方歌舞伎に必要なわき役として熟成した俳優になることが期待される。 |
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日本俳優協会賞 | 中村 四郎五郎 (なかむら しろごろう) 平成12年4月歌舞伎座の『髪結新三』の長屋権兵衛、10月歌舞伎座の『与話情浮名横櫛』赤間子分梅蔵、11月平成中村座の『法界坊』の道具屋市兵衛など、計四役で高い評価を得た。各役ともにとぼけた持ち味で江戸の世話物の雰囲気をよく出すなど、ベテランらしい味が評価された。 |
日本俳優協会賞 奨励賞 |
中村 芝のぶ (なかむら しのぶ) 平成12年8月歌舞伎座の『東海道四谷怪談』のお梅、9月歌舞伎座の『魚屋宗五郎』の茶屋娘おしげ、13年1月浅草公会堂の『一條大蔵譚』のお京、2月国立劇場の『新世紀累化粧鏡』下女おそのなど、計六役で大変高い評価を得た。このところ、選考委員会のたびに得票数があがっており、進境がめざましい。娘役、傾城役に限らず華があり演技もしっかりしている。評価は群を抜いているが、まだ若いので、今後の更なる精進を期待し、奨励賞となった。 |
日本俳優協会賞 奨励賞 |
坂東 三津右衛門 (ばんどう みつえもん) 平成12年8月歌舞伎座の『富樫』の伯山坊、同じく『愚図六』の子分大岩、13年1月歌舞伎座の『御所五郎蔵』の土右衛門門弟、2月歌舞伎座の『神明恵和合取組』角力荒波亀之助など計五役で高い評価を得た。いずれの役も、それぞれの性根をしっかり演じているが、特に『富樫』の伯山坊は、得体の知れない修験者の存在感があり、殊更に高く評価された。 |
日本俳優協会賞 功労賞 |
尾上 音吉 (おのえ おときち) 尾上菊五郎に入門して二十八年、師匠の後見や舞台裏での仕事はもちろん、舞台でも、駕舁かきや馬の脚、蝦蟇、羊などに入って舞台を支えている。また『土蜘』などで使われる〈蜘蛛の糸〉の製作など特殊な小道具の技術をもち伝え、労を惜しまずよく働いている点が評価された。 |
第6回
平成12年(2000年)5月16日 歌舞伎座
受賞者名と受賞理由
日本俳優協会賞 | 中村 京妙(なかむら きょうたえ) 平成11年5月歌舞伎座の『髪結新三』の白子屋下女お菊、6月国立劇場の『番町皿屋敷』の腰元お仙、9月江戸東京博物館ホールの『傾城反魂香』のおとくなど、計六役で高い評価を得た。行儀良く控えめでいながら、芝居が安定し、並びの腰元などの小さい役から大きな役まできちんと演じている。楽屋での態度も好ましいなどの点が総合的に評価された。 |
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日本俳優協会賞 | 小泉 まち子(こいずみ まちこ) 昨今、公演の少ない新派にあって、平成11年4月三越劇場の『日本橋』お角、11月新橋演舞場『明治一代女』の安宿の老婆などが際だっていた。故・市川翠扇の弟子としてキャリアも長く、さりげなく演じていながら、その役々になっているベテランの腕が高く評価された。 |
日本俳優協会賞 奨励賞 |
尾上 菊市郎(おのえ きくいちろう) 平成11年5月歌舞伎座の『鏡獅子』の用人関口十太夫、10月国立劇場の『音菊天竺徳兵衛』侍女袖垣、12年1月新橋演舞場『身替座禅』侍女千枝など六役で得票した。立役女形とも行儀よく勤め、どの役に対しても好感のもてる演技が奨励賞にふさわしいと判断された。 |
日本俳優協会賞 奨励賞 |
中村 芳彦(なかむら よしひこ) 〔現・中村亀鶴〕 平成11年8月の稚魚の会・歌舞伎会合同公演の『伽羅先代萩』の細川勝元、12年2月〈柝の会公演〉『曾我物語』の曾我五郎、『老後の政岡』の伊達綱村をはじめ、国立劇場歌舞伎鑑賞教室の『解説』や、11年9月京都南座『小笠原騒動』の小姓・山路貢などで高い評価を得た。舞台の態度がまじめで、特に口跡が爽やかな点で、今後の成長が期待された。 |
第5回
平成11年(1999年)5月26日 歌舞伎座
受賞者名と受賞理由
日本俳優協会賞 | 澤村 大蔵(さわむら だいぞう) 平成10年4月歌舞伎座『瞼の母』の酔漢、6月歌舞伎座『金閣寺』の貴船次郎など計六役で高い評価を得た。ひとつひとつの舞台を大事にして、個性を生かした存在感のあるベテランの味を出し、楽屋内においても静かで控えめながら、丁寧にしっかりと後輩を指導している点が評価された。 |
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日本俳優協会賞 | 中村 芝喜松(なかむら しきまつ) 平成10年6月国立劇場『葛の葉』の庄司の奥方、8月歌舞伎座『小栗栖の長兵衛』の女房おくろ、11月国立劇場『沓手鳥孤城落月』梶の葉の方など計六役で高い評価を得た。国立劇場第2期歌舞伎俳優研修を修了後、中村芝翫一門にあり、地道に努力を重ねた成果がこのところ現れて、役々にふさわしい味を出している点が評価された。 |
日本俳優協会賞 奨励賞 |
尾上 辰夫(おのえ たつお) 〔現・吉川明良〕 平成10年8月国立劇場における「歌舞伎会」や「江戸東京博物館歌舞伎公演」での成果が評価された。本公演においても平成10年歌舞伎座『野晒悟助』の提婆の子分など、堅実な演技が評価され、今後、菊五郎劇団の伝統を受け継いでの活躍が大いに期待された。 |
第4回
平成10年(1998年)5月28日 大阪松竹座
受賞者名と受賞理由
日本俳優協会賞 | 中村 助五郎(なかむら すけごろう) 〔故・中村源左衞門〕 平成9年4月歌舞伎座で演じた『一本刀土俵入』の取手宿の遊人いわしの北や、8月の『真景累ヶ淵』の噺家さん蝶、10月の『盟三五大切』のますます坊主、12月の『梅ごよみ』の番頭松兵衛など、江戸の片隅に生きるさまざまな人物像を生き生きと演じて、さりげない生活感とペーソス、愛嬌を感じさせ、それぞれの作品の雰囲気を際だたせた。10年1月の歌舞伎座『寺子屋』の百姓でも、ベテランの演技で義太夫狂言を支えていた。 |
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日本俳優協会賞 | 中村 寿治郎(なかむら じゅうじろう) 平成9年9月南座における『どんどろ』の尼妙林、11月国立劇場『心中天網島』の五貫屋善六など、師匠の鴈治郎が得意とする上方の世話狂言で、いかにも大坂の庶民らしいにぎやかな愛嬌と雰囲気を表現していた。また10年2月歌舞伎座の『熊谷陣屋』の花誉めの百姓や『傾城反魂香』の幕明きの百姓など、義太夫狂言に欠かせないわきの役々においても、年季の入った演技を見せた。 |
日本俳優協会賞 | 青柳 喜伊子(あおやぎ きいこ) 技巧派の多い新派わき役陣の中でも、地味だが自分の持ち役をしっかりもっている貴重な女優である。平成9年4月に国立劇場で演じた『歌行燈』の桑名のうどん屋の女房や、12月の新橋演舞場で演じた『太夫さん』の玉袖太夫、『深川年増』の小間使い実はスリなどの役で、新派独特の古風で懐かしい雰囲気と下層階級の悲哀を巧みに描き、さりげなく主役を助ける実力を示した。また10年2月新橋演舞場における『浅草パラダイス』のみねのように、新作の役作りにもベテランらしいうまさを見せた。 |
日本俳優協会賞 奨励賞 |
坂東 みの虫(ばんどう みのむし) 〔現・坂東三津之助〕 菊五郎劇団の若手の中でも、江戸の世話物の雰囲気をよく身につけており、平成9年8月の歌舞伎座での『浮かれ心中』の読売屋、10月国立劇場『黄門記』の中間ぐず八、平成10年3月国立劇場『青砥稿花紅彩画』浜松屋の手代など、きびきびした小気味のいい演技で市井の庶民や場末の小悪党、手代などを生き生きと演じて見せた。また、子役いらいの立廻りのベテランとして、10年2月歌舞伎座の『吉野山』の花四天の中心として活躍。平成9年11月の歌舞伎座での『網打』の蛸の見事な演技も高い評価を得た。 |
日本俳優協会賞 特別賞 |
尾上 芙雀(おのえ ふじゃく) 〔故人・死後追贈〕 女方のベテランで、平成9年5月歌舞伎座『重の井子別れ』の腰元夏野や9月の『法界坊』の講中の比丘尼、10年1月の『吉田屋』の仲居のように、ほんの僅かの時間しか舞台にいない役々でも、しっかりと印象に残る味のある女方であった。今後ますます貴重な存在になると期待されていただけに、突然の死が惜しまれる。 |
第3回
平成9年(1997年)5月28日 歌舞伎座(第30回俳優祭にて)
受賞者名と受賞理由
日本俳優協会賞 | 嵐 橘三郎(あらし きつさぶろう) 『御所五郎蔵』の穴生多九郎、『伽羅先代萩』の黒沢官蔵、『江戸の夕映』のそば屋の亭主などで高い評価を得た。現在もっとも必要とされている老けのわき役をはじめ、与えられたどんな役も堅実に一定の水準までこなしている。嫌味がなく、それでいて個性があり、役に対する真摯な態度が好もしい。 |
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日本俳優協会賞 | 伊井 義太朗(いい よしたろう) 明治・大正の庶民の味と匂いを見につけて、新派特有の芸を伝える貴重な存在。公演回数の少ない新派にあって、平成8年4月国立劇場『日本橋』の植木屋甚兵衛で、特に高い評価を得た。 |
日本俳優協会賞 奨励賞 |
市川 猿四郎(いちかわ えんしろう) 市川猿之助一門にあって若いながら立廻りの芯をつとめ、よく全体をまとめつつ、先頭になって活躍している。また勉強熱心で、与えられた役はどんな役でも大切に演じていることが高く評価された。 |
日本俳優協会賞 功労賞 |
中村 小山三(なかむら こさんざ) 故・中村勘三郎に四歳で入門して以来、永年にわたり中村屋一門にあって勘九郎、勘太郎、七之助と三代に仕え、芸の伝承に貢献してきた功績は大きい。また、舞台にあっても独特の味があり、観客を楽しませる貴重な存在である。 |
第2回
平成8年(1996年)5月24日 歌舞伎座
受賞者名と受賞理由
日本俳優協会賞 | 山崎 権一(やまざき ごんいち) 平成7年度、一年間にわたり、さまざまな役柄で際立った働きがあった。ことに9月歌舞伎座『実盛物語』の庄屋、12月国立劇場『裏表先代萩』の花売り佐五兵衛、8年2月の新橋演舞場『一本刀土俵入』の老船頭、三月歌舞伎座の『梅ごよみ』の幇間などで高い評価を得た。また、永年にわたり楽屋でもまじめな態度で師・河原崎権十郎に仕え、後進の手本とされるべき点も高く評価された。 |
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日本俳優協会賞 | 一條 久枝(いちじょう ひさえ) 永年、新派の名わき役として舞台を支えてきた。公演数の限られる新派にあって、平成7年の二代目水谷八重子襲名の舞台の数々の役でその存在を示した。ことに11月の新橋演舞場『遊女夕霧』の円玉女房お峯、12月の新橋演舞場『十三夜』のもよ(せきの母)などが高く評価された。 |
日本俳優協会賞 奨励賞 |
澤村 宗丸(さわむら そうまる) 〔現・澤村宗之助〕 平成7年6月の明治座『鏡獅子』の胡蝶、11月歌舞伎座『文七元結』の長兵衛娘お久などの演技で、将来若手女形としての成長が期待される出来映えを示した。 |
第1回
平成7年(1995年)5月28日 歌舞伎座(第29回「俳優祭」にて)
受賞者名と受賞理由
日本俳優協会賞 | 松本 幸右衛門(まつもと こうえもん) 平成6年7月の歌舞伎座『隅田川続俤(法界坊)』の番頭長九郎、8月国立劇場『青砥稿花紅彩画(白浪五人男)』の浜松屋の番頭与九郎、9月歌舞伎座『鏡山旧錦絵』の奥女中桐島、11月歌舞伎座『雪暮夜入谷畦道』の蕎麦屋の亭主、平成7年3月歌舞伎座『寺子屋』の下男三助など、時代物から世話物まで多彩な役々を見事に演じ分け、全ての役で高い水準の演技を見せ、ワキ役の手本ともいうべき優れた成果を示した。 |
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日本俳優協会賞 | 尾上 菊十郎(おのえ きくじゅうろう) 平成6年4月国立劇場『暗闇の丑松』の湯屋番、5月歌舞伎座『髪結新三』の魚売新吉、平成7年1月歌舞伎座『弁天娘女男白浪』の狼悪次郎、3月国立劇場『次郎吉懺悔』の野田の伝六などで、軽快できれのいい動きと味わいのある演技で江戸の世話物の役々を生き生きと演じた。 |
日本俳優協会賞 奨励賞 |
片岡 十蔵(かたおか じゅうぞう) 〔現・片岡市蔵〕 平成6年12月南座『勧進帳』の四天王は若々しくキビキビした演技で、花道の出から詰め寄りなども立派に演じた。平成7年1月歌舞伎座『寿曽我対面』の梶原平次では甲の届いた声、安手でべりべりした調子などに真面目で研究の行き届いた成果を見せ、将来を期待される出来であった。 |
日本俳優協会賞 奨励賞 |
坂東 橘太郎(ばんどう きつたろう) 平成7年1月歌舞伎座『寿曽我対面』の秦野四郎は名題昇進披露の大役ながら、せりふも演技のカドカドの極まりもきっぱりとした見事な出来であった。2月歌舞伎座『仮名手本忠臣蔵』十一段目の泉水の立廻りでは、負傷休演した辰之助に代わって三日目から竹森喜太八という大役をひきうけ、見劣りのしない演技で立派に大任を果たした。 |