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俳優祭

第三十六回 平成24年1月28日(土) 国立劇場 大劇場

1月28日(土)、国立劇場大劇場にて第36回俳優祭が開催され、大盛況の裡に無事終了しました。ご来場いただいたお客さま各位、およびご協力くださった関係各位にあつく御礼申し上げます。一日限り、しかも今回は一回公演で席に限りがあるため、入場券をお求めになれなかったお客さまには深くお詫び申し上げます。

今回の俳優祭は東日本大震災被災地復興支援を目的としており、収益金は被災地の自治体に寄付されます(金額は確定次第このホームページで発表いたします)。また、歌舞伎座が建替中のため、第16回以来37年ぶりの国立劇場での開催となりました。
開幕は、日本俳優協会会員の研修発表演目『絵本太功記(えほんたいこうき)』十段目。「太十(たいじゅう)」の通称で知られる義太夫狂言の名場面を、次代の歌舞伎を担う若手花形たちが熱演しました。 続いて『殺陣 田村(たて たむら)』。新國劇に受け継がれてきた傑作を、歌舞伎の立廻りにアレンジしました。息の合った鮮やかな立廻りに、お客さまの目は舞台に釘付けになりました。 俳優たちが売り子として奮闘する恒例の「模擬店」では、ここでしか手に入らない俳優直筆の色紙や押隈を販売した画廊や各種飲食物の販売だけでなく、被災地支援のためのショップ出店もあり、ロビーが大変な賑わいを見せていました。 最後は河竹黙阿弥作『質庫魂入替(しちやのくらこころのいれかえ)』。質屋の蔵に収められた人形の魂が次々と入れ替わっていくというおもしろい趣向の舞踊を、俳優祭ならではの豪華な顔合わせでお楽しみいただきました。坂田藤十郎副会長のご挨拶で幕となり、「祭」と呼ぶにふさわしい華やかな公演が終了しました。

一、『絵本太功記』十段目 尼ヶ崎閑居の場

「本能寺の変」前後の武将の動向を扱った作品で、近年ではこの「尼ヶ崎閑居」(六月十日の段)が繰り返し上演されています。歌舞伎の代表的な役柄が一同に揃い、見応えのあるドラマが展開される名場面です。
俳優祭では昭和52年の第17回でも上演されており、初代松本白鸚(八代目幸四郎)の光秀をはじめとした豪華な顔合わせが話題となりました。今回は技芸の研修発表の場として、若手花形を中心とした配役で上演されました。

写真左:白雪姫(玉三郎) 写真右:お妃実は魔女(團十郎・右)と鏡の精(海老蔵・左)

左から 初菊(梅枝)、武智十次郎光義(七之助)、
武智十兵衛光秀(染五郎)、操(孝太郎)、皐月(秀調)

白雪姫と小鳥たち

左から 佐藤虎之助正清(亀三郎)、
武智十兵衛光秀(染五郎)、真柴筑前守久吉(松緑)

配役
武智十兵衛光秀 市川染五郎
光秀妻 操 片岡孝太郎
武智十次郎光義 中村七之助
十次郎許嫁 初菊 中村 梅枝
久吉の重臣 尾上 辰緑
久吉の重臣 市川 新蔵
久吉の重臣 片岡仁三郎
久吉の重臣 澤村宇十郎
軍兵 中村福太郎
軍兵 澤村 伊助
軍兵 尾上 松男
軍兵 片岡松太朗
佐藤虎之助正清 坂東亀三郎
光秀母 皐月 坂東 秀調
旅僧 実は 真柴筑前守久吉 尾上 松緑

<竹本連中>

竹本喜太夫、野澤松也

 

二、『殺陣 田村』

(出演)
中村勘太郎、市川海老蔵、中村扇雀、中村橋之助(登場順)

市川猿琉、市川左十次郎、市川茂之助、市川升一、尾上音之助、尾上隆松、尾上松五郎、片岡松次郎、
中村いてう、中村梅秋、中村扇一朗、中村扇之助、中村仲四郎、中村橋幸、
坂東やゑ亮、坂東八重之、坂東八大、坂東大和、山崎咲十郎

(立師)
坂東橘太郎

「殺陣(たて)」とは「演劇や映画で、闘争・捕物などの格闘の演技」(『広辞苑』)のことですが、歌舞伎では「立廻り(たちまわり)」の呼び方が一般的で、「殺陣」に対して「たて」という読みを本格的にあてたのは、新國劇の創始者・澤田正二郎です。新國劇は、舞踊的な美しさが要求される歌舞伎の立廻りとの違いを出すため、スピード感とリアリティさのある格闘シーンを創り出そうとし、大正9年(1920)大阪道頓堀弁天座で「殺陣田村」を初演しました。この殺陣だけを取り上げた本作は大きな評判を呼び、以来劇界で「殺陣=たて」が定着し、「殺陣田村」は新國劇の貴重な財産になりました。
作名の「田村」は謡曲「田村」のことで、坂上田村麻呂の霊が鈴鹿山の悪魔を退治した際の模様を語る謡と囃子に合わせ、若手歌舞伎俳優による迫力ある剣のぶつかり合いが展開されました。

 

三、模擬店

「俳優祭はこれがいちばんの楽しみ!」というお客さまも少なくない・・・というか、とっても多い模擬店。今回は東日本大震災の被災地支援のため、福島・宮城・岩手のアンテナショップによる名産品の販売や、被災地の名酒の試飲・販売を行うコーナーを設置するなど、バラエティに富んだ商品を揃えて盛大に行われました。人気俳優が大奮闘の会場の雰囲気をご紹介しましょう。

ドリンクコーナー/獅童

ドリンクコーナー/獅童

木村屋あんぱん/團蔵

木村屋あんぱん/團蔵

文化堂/竹松・萬次郎・光

文化堂/竹松・萬次郎・光

日本酒蔵元販売/亀蔵・勘太郎

日本酒蔵元販売/亀蔵・勘太郎

みやげ物店/宗之助・廣松・廣太郎

みやげ物店/宗之助・廣松・廣太郎

みやげ物店/月乃助

みやげ物店/月乃助

みやげ物店/春猿・猿弥

みやげ物店/春猿・猿弥

ドリンクコーナー/秀太郎

ドリンクコーナー/秀太郎

ドリンクコーナー/吉弥・吉太朗・桂三

ドリンクコーナー/吉弥・吉太朗・桂三

みやげ物店/橋之助

みやげ物店/橋之助

みやげ物店/国生・宜生・宗生

みやげ物店/国生・宜生・宗生

画廊/東蔵・梅玉

画廊/東蔵・梅玉

画廊/錦之助

画廊/錦之助

画廊/錦吾・松江・玉太郎・高麗蔵

画廊/錦吾・松江・玉太郎・高麗蔵

画廊/隼人

画廊/隼人・梅丸

カップケーキ/福助・児太郎

カップケーキ/福助・児太郎

カップケーキ/児太郎・七之助

カップケーキ/児太郎・七之助

揚げたこやき/龍之助・歌六・米吉

揚げたこやき/龍之助・歌六・米吉

お汁粉・甘酒/梅枝・萬太郎・時蔵

お汁粉・甘酒/梅枝・萬太郎・時蔵

かぶき弁当/孝太郎・仁左衛門

かぶき弁当/孝太郎・仁左衛門

かつサンド/芝雀・門之助

かつサンド/芝雀・門之助

焼きおにぎり・フランクフルト/亀鶴・藤十郎

焼きおにぎり・フランクフルト/
亀鶴・藤十郎

焼きおにぎり・フランクフルト/藤十郎・亀鶴

焼きおにぎり・フランクフルト/
壱太郎

にぎり寿司/團十郎・家橘・市蔵

にぎり寿司/市蔵・家橘・團十郎

にぎり寿司/海老蔵

にぎり寿司/海老蔵

焼き鳥/扇雀・虎之介

焼き鳥/虎之介・扇雀

焼きそば/勘三郎

焼きそば/勘三郎

焼きそば/彌十郎・新悟

焼きそば/彌十郎・新悟

ひと口そば/菊五郎・権十郎・尾上右近

ひと口そば/
尾上右近・菊五郎・権十郎

唐揚げ・ポテト/田之助・由次郎

唐揚げ・ポテト/由次郎・田之助

ドリンク/水谷八重子と新派

ドリンク/水谷八重子と劇団新派

りんごクッキー/福助

ドリンク/亀寿・松緑・亀三郎

アイスクリーム/歌昇・種太郎親子

ローストビーフ/
三津五郎・巳之助・小吉・秀調

ソーセージ/歌六

ブラマンジェ・団子/
男女蔵・左團次・魁春

りんご飴/扇雀

焼きそば・たこ焼き/
松也・彦三郎

サンドウィッチ/孝太郎・千之助親子

3階売り場(被災地ショップ)/
弘太郎・市川右近・笑也・笑三郎

    河竹黙阿弥作
四、『質庫魂入替』  竹本連中・常磐津連中

河竹黙阿弥が滝沢馬琴の作から暗示を受けて書き下ろした滑稽浄瑠璃で、慶応3年(1867)2月江戸市村座において初演されました。
古来、人形などに精が入って踊り出す趣向は数多くありましたが、その魂がさらに他と入れ替わって、異なる姿で踊り出すところが幕末歌舞伎の面白さです。上演ごとに役柄は自由に選択され、人気役者がお馴染みの格好で意外な振りを踊り始めます。

奇妙院(梅玉)鉞の精・金時(團十郎)苧環の精・お三輪(時蔵)

左から奇妙院(梅玉)、鉞の精・金時(團十郎)、
苧環の精・お三輪(時蔵)

白雪姫と小鳥たち

左から太鼓の精・雷神(左團次)、 羽織の精・通人(勘三郎)、
文箱の精・禿(三津五郎)

白雪姫と小鳥たち

写真左:男雛(菊五郎)、女雛(芝雀)
写真右:奇妙院(梅玉)、兜の精・八重垣姫(魁春)

七人の童(左から吉右衛門、波乃久里子、秀太郎、段四郎、左團次、梅玉、仁左衛門)

左から金冠の精・平将門(仁左衛門)、枕の精・宿場女郎(福助)

配役
男雛 尾上菊五郎
女雛 中村 芝雀
鉞の精・金時 市川團十郎
太鼓の精・雷神 市川左團次
兜の精・八重垣姫 中村 魁春
羽織の精・通人 中村勘三郎
苧環の精・お三輪 中村 時蔵
文箱の精・禿 坂東三津五郎
枕の精・宿場女郎 中村 福助
金冠の精・平将門 片岡仁左衛門
奇妙院 中村 梅玉
下男 坂東三津之助
若い男 市川新十郎
ご挨拶 坂田藤十郎
ごあいさつ

ご挨拶(中央の紋付袴は藤十郎)

<竹本連中>

竹本葵太夫、竹本愛太夫、鶴澤慎治、豊澤長一郎

<常磐津連中>

浄瑠璃:常磐津勘寿太夫、常磐津和英太夫、常磐津仲重太夫、常磐津千寿太夫
三味線:常磐津一寿郎、岸澤式松  上調子:常磐津美寿郎

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