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第三十三回 平成16年4月27日(火) 歌舞伎座
4月27日(火)歌舞伎座にて第33回俳優祭が開催されました。
協会幹部たちによる季節にふさわしい舞踊『華酔木挽賑~お祭り』で華やかに幕を明け、俳優祭初の試みの連鎖劇『奈落~歌舞伎座の怪人~』では、豪華な顔ぶれによる名場面など映画ならではの楽しさ。さらに、映画からひとつながりにつづく実演場面での空前絶後の大立ち回りなどがあり、感動のエンディングへ。笑いと感動の名作がまたひとつ誕生しました。
俳優達がそろいのTシャツで登場した模擬店をはさんで、『滑稽俄安宅珍関』では仁左衛門扮する富樫の前で繰り広げられる、普段の舞台では決して観る事の出来ない豪華な出演者たちの"芸づくし"。まさに楽しさ一杯の俳優祭となりました。
一、舞踊 『華酔木挽賑(はなにようこびきのにぎわい)~お祭り』 清元連中 長唄連中
振付=藤間勘祖 脚本=竹柴正二
<芸者>
中村鴈治郎、水谷八重子、波乃久里子、片岡秀太郎、中村時蔵
<鳶頭>
中村富十郎、中村吉右衛門、中村梅玉、市川段四郎、中村歌昇
<手古舞>
中村歌女之丞、中村京妙、中村鴈乃助、中村芝喜松、市川段之、中村扇乃丞、片岡松之亟、坂東守若、 中村芝のぶ、中村京紫、片岡嶋之亟、中村鴈成、中村歌松、澤村由蔵
<清元連中>
浄瑠璃: 清元延寿太夫、清元清寿太夫、清元志寿雄太夫、清元佳栄太夫
三味線: 清元秀二郎、清元三之輔、清元志一朗
<長唄連中>
唄: 鳥羽屋里長 鳥羽屋文五郎 鳥羽屋長孝 鳥羽屋長秀
三味線: 杵屋巳太郎(昼の部) 杵屋栄津三郎(夜の部) 杵屋五七郎 稀音家新之助 鳥羽屋里之輔
<鳴物>
田中傳左衛門社中
下手には清元連中、上手には長唄連中。浅黄幕が切って落とされると、手古舞姿の名題の女形たちがずらり。ひとしきり踊ると、鳶頭、芸者の姿をした役者たちがセリに乗って登場しました。下手から波乃久里子、歌昇、時蔵、梅玉、吉右衛門、富十郎、秀太郎、水谷八重子、段四郎。全員で踊った後、幾組かの鳶頭&芸者の組み合わせで踊りを披露します。八重子&久里子の扮する芸者は、鳶頭の梅玉を取り合う鞘当。女形とは違う色香に鳶頭の梅玉もメロメロ(?)。獅子頭をもって、富十郎&吉右衛門らが踊った後、花道から芸者に扮した鴈治郎副会長が登場。舞台に戻って全員で踊った後、三方に皆でご挨拶。幕となりました。
二、連鎖劇 『奈落~歌舞伎座の怪人』
(映画+舞台実演)
総指揮=中村勘九郎 脚本・監督・音楽=山崎咲十郎
ある日の歌舞伎座。
新進気鋭の雑誌記者・竹中四郎(菊之助)が、坂東三津五郎(三津五郎)の取材のため楽屋を訪れて来る。
大張り切りの竹中だが、三津五郎に記事のテーマが良くないと言われ、落ち込む。その頃、他の役者たちの間では、「近頃の若い弟子たちはすぐに辞める」「急にいなくなった」「神隠しでは?」といった話題でもちきりになっていた。
竹中は三津五郎にピントはずれの提案をしてあきれられた末に、最高(?)のテーマを見つけたので、明日から本格取材を、と言い残して足早に楽屋を後にする。一方、楽屋内の話題は遂に警察沙汰にまでなり、警部下関(翫雀)と刑事三浦(弥十郎)が出張って来る。
次の日、竹中が楽屋を訪ねて来ると、口番のおっさん(左團次)が泡を吹いて倒れていた。下関や三浦、医者(仁左衛門)まで駆けつけての大騒ぎになっている。口番のおっさんの証言により、下関たちは、歌舞伎座の<奈落>へと降りて行く。彼らが<奈落>で遭遇したものとは・・・。
俳優祭初の試み、連鎖劇『奈落~歌舞伎座の怪人』には、怖い口番のおっさん(左團次)、質之助(七之助)とその付人(勘九郎)、清兵衛(大特別出演・真田広之)、鴈治郎と話す松竹の柳田(玉三郎)、TVの役そのままの染五郎、團十郎のところへやってくる 聞吾郎(菊五郎)、付人のおばちゃん(大特別出演・藤山直美)、前財教授(仁左衛門)と佃助教授(孝太郎)、みかん(芝翫)、バンテリンを持ったあぁ四郎(幸四郎)、富九郎(富十郎)、高麗蔵、段奈(段四郎)、とっきー(時蔵)、恋之助(愛之助)、太賀寿(福助)ら、よくぞここまで集まった!というほど多くの俳優が出演し、約1時間ほどの作品になりました。実演部分では、長谷川勘弁(三津之助)率いる大道具方に扮した名題下総勢54名による空前絶後の大立廻りも。そして感動のエンディングへと続き、客席から大きな拍手が送られました。
最後には、総指揮の勘九郎が舞台に現れて、「この連鎖劇は、歌舞伎に関わったすべての人に捧げる気持ちでつくりました。」と挨拶があり、脚本・監督・編集・音楽を担当した山崎咲十郎の労をねぎらいました。
映画
実演場面
三、模擬店 今賑歌舞伎座大屋台(いまにぎわうかぶきざのおおやたい)~屋台村
企画構成=中村梅玉
「俳優祭はこれがいちばんの楽しみ!」というお客さまも少なくない・・・というか、とっても多い模擬店。「俳優祭」オリジナルTシャツなどヴァラエティに富んだ商品を揃えて盛大に行われました。俳優らが"売り子"となって奮闘した会場の様子をご紹介しましょう。
四、『滑稽俄安宅珍関』(おどけにわかあたかのちんせき) 一幕
原作=河竹黙阿弥 補綴=竹柴徳太朗
ここは、『勧進帳』で有名な安宅の関。
「この関を通る者は一芸を見せよ」という、鎌倉殿の厳命によって、関守・富樫左衛門の前に旅人たちが次々と現れ、それぞれの思い思いの趣向の芸をみせて通っていきます。
俳優祭などでよく上演されます。昭和五十三年の第十八回俳優祭でも上演され、その時、富樫を勤めたのは、故・十七世中村勘三郎丈でした。