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財務

令和2(2020)年度 事業報告書
  【貸借対照表と内訳表】 【正味財産増減計算書】 【正味財産増減計算書内訳表】
  【財務諸表に対する注記と附属明細書】 【財産目録】 【監査報告書】
令和3(2021)年度 事業計画
  【正味財産増減予算書】

令和2(2020)年度 事業報告書(2020年4月1日~2021年3月31日)

はじめに

令和2年は1月に日本国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が出て国内に急速に広がり、3月下旬には感染者が1,000人を超えた。3月4月に予定されていた歌舞伎公演はすべて中止となり、本法人が3月末に歌舞伎座で開催を計画していた「俳優祭」も見送らざるを得なくなった。4月3日に感染者が3,000人を超えたため、4月7日に首都圏1都3県と大阪、兵庫、福岡の3県に緊急事態宣言が発出され、全国の劇場が閉鎖された。5月から7月までは全ての舞台公演活動が停止となり、本法人の会員はじめ、すべての俳優、音楽家と劇場、興行界が甚大な打撃を受けた。こうした想定外の事態により、本法人の事業も事前の計画通りにはいかず、舞台がなくなった会員等への支援に力を入れざるをえなかったのはやむを得ないことであった。

事  業

I. 公益目的事業

  1. 【1】稽古費用および自主的発表会の費用の補助
    若手俳優が個々に自主的に習う日本舞踊、長唄、義太夫、常磐津、清元、謡曲と仕舞、狂言などのお稽古を奨励するため、稽古費用の一部を補助した。また、例年行われていた個人または小グループの自主的な研究公演や小規模な発表会などへの補助も、今年度はコロナ禍で実施できず、申請がなかった。
  2. 【2】歌舞伎俳優等の顕彰
    1. 1)優れた技芸を示した歌舞伎のわき役俳優を顕彰する「日本俳優協会賞」は、令和元年度に新制度がスタートしたが、コロナ禍により令和2年度は舞台公演が激減し、また外部の選考委員と松竹㈱演劇部、本協会の役員などによる委員会も開催できなかったため、令和2年度の実施は延期となった。
    2. 2)文化庁と連携して、国の褒章・叙勲や文化庁長官表彰などに、優れた活動を行った俳優や歌舞伎音楽演奏家、舞台スタッフなどを推薦した。
  3. 【3】名題資格審査の実施
    名題資格審査は隔年実施であるため、令和2年度は実施されなかった。
  4. 【4】研修発表会の開催
    「俳優祭」はコロナウイルス感染拡大防止のため、当面、開催が難しいので見送った。
  5. 【5】普及事業(その1)『かぶき手帖』2020年版の編集発行
    歌舞伎公式データブック『かぶき手帖』2021年版は、コロナ禍による公演の激減などの理由により、刊行が見送られ、令和元年度に刊行した2020年度版の販売を引きつづき行ったが、劇場での販売ができず、販売部数は半減した。
  6. 【6】普及事業(その2)インターネット歌舞伎公式サイトの公開と運営
    1. 1)令和2年4月にリニューアルした「歌舞伎 on the web」の公開運営を行うとともに、「歌舞伎公演データベース」「歌舞伎俳優名鑑」(「現在の俳優篇」「想い出の名優篇」)「歌舞伎演目案内」とその英語版“Kabuki Plays Guide”、「歌舞伎用語案内」のデータの追加更新などを行った。
    2. 2)コロナウイルス感染拡大により5月から歌舞伎等の劇場公演がすべて中止になるという事態に対応して、歌舞伎俳優・演奏家と歌舞伎ファンや一般の愛好家を直接つなぐ日本俳優協会・伝統歌舞伎保存会YouTube公式チャンネル「歌舞伎ましょう」を立ち上げた。コンテンツは役員から一般会員まで、多くの人たちの参加を得て、令和3年3月までに55本を公開し、総視聴回数218,7万回、閲覧された。
  7. 【7】普及事業(その3)機関誌及び図書の発行
    1. 1)「日俳協ニュース」(随時、発行部数約700部)の第187~193号を編集発行し、会員と関係方面に配布した。コロナ禍により、楽屋での配布が出来ず、すべて郵送に切り替えるとともに、コロナ禍により会員へのきめ細かい情報提供が必要となり、持続化給付金の申請ガイドや、コロナウイルス感染防止のための松竹株式会社や各劇場からのお知らせなどの情報を例年にくらべ頻繁に広報した。
    2. 2)会員及び歌舞伎関係の演奏家、作家・演出家、研究者、関連団体、興行・劇場関係などを多数掲載した『俳優手帳』2021年版を編集し、12月1日に刊行、会員と関係方面に配布し、利用に供した。
  8. 【8】調査研究事業
    1. 1)歌舞伎の継承に必要な歌舞伎公演等の調査を継続し、毎月の主要劇場と地方公演の演目・配役等の情報を「歌舞伎公演データベース」に蓄積し、「歌舞伎 on the web」のインターネット・コンテンツとして公表し、広く一般の利用に供した。
    2. 2)会員等の毎月の出演劇場を調査、記載した「動静表」を毎月作成し、関係方面に配布するとともに、インターネット公式サイト「歌舞伎 on the web」にアップして、一般に公開した。
    3. 3)歌舞伎の主要演目を初心者に分かりやすく紹介する「歌舞伎演目案内」とその英語版《Kabuki Plays Guide》と「歌舞伎用語案内」の公開と情報の修正などを行った。
    4. 4)歌舞伎に関する書籍、DVD、新聞雑誌などの資料を収集整理し、会員及び一般の利用に供した。
  9. 【9】歌舞伎等の映像と写真を使用するための権利処理事業
    1. 1)歌舞伎等の映像と写真を使用するための権利処理事業。
      歌舞伎の出演者の権利を守り、かつ円滑で適正な利用を促進するための窓口として、一般からの利用申請を受け付け、出演者からの許諾を代行する業務を行った。令和2年度はコロナウイルス感染拡大のために劇場公演が休止および規模を縮小しての再開を余儀なくされたため、その補完として、歌舞伎の舞台中継動画のインターネット有料配信が開始された。これに対応して、本法人は8月に松竹株式会社との間で「動画配信サービスMIREIL(ミレール)による歌舞伎等の映像の配信に関する覚書」を締結し、動画配信の権利処理を開始した。また、令和3年2月に日本芸術文化振興会(国立劇場)との間で、公演記録映像を有償で配信するための契約書を取り交わした。そのほか、ブロマイドのネット通販にも対応して、権利処理を行った。
    2. 2)使用者から2019年1月~12月までに受領した使用料を、令和2年3月に、会員等の権利者に分配した(約4,000万円)。
    3. 3)歌舞伎を広く普及するための利用方法と、適正な分配を行うため、松竹株式会社や日本芸術文化振興会(国立劇場)、NHKとの「覚書」に則り、歌舞伎の舞台映像と写真の権利処理を行った。
  10. 【10】歌舞伎俳優等の舞台活動の向上のための事業
    1. 1)歌舞伎公演が順調に行われるために、歌舞伎俳優やスタッフの健康管理と安全対策など、芸術活動をすすめるための環境整備事業を行った。
      1. (1)インフルエンザ予防接種(令和2年10月~令和3年3月上旬まで)
        会員、付人、番頭等、合計212名
      2. (2)平成25年4月から再開場した歌舞伎座地下に本法人が借用した歌舞伎用具保管のための倉庫の管理運用を行った。
      3. (3)地方公演における食費補助制度(補食費の支給)を継続して実施した。
        昨年度に博多座及び名古屋御園座と取り交わした覚書(請負契約)に基づき、補食費の支払いを本法人が一括して預かり、支払を代行した。
      4. (4)出演者交通費支給制度を継続して実施した。
      5. (5)医療費補助を実施し、歌舞伎公演の出演者とスタッフの健康管理につとめた。
        本年度の補助は12名に対し合計1,200,000円を支給した。
      6. (6)「社会保障・税番号(マイナンバー)制度の実施に対応し、会員管理システムを使用して会員等の「マイナンバー」の収集保管を行った。
      7. (7)コロナ禍により収入が半減した個人事業主などへの支援として、6月から経産省による「持続化給付金」が実施されたが、その申請は主にネットによる手続きが必要なため、申請マニュアルを作成し、手続き方法のガイドを「日俳協ニュース」などに掲載するとともに、電話などで相談に応じ、給付を受けるためのサポートを行った。
  11. 【11】その他、目的を達成するために必要な事業
    1. 関係団体との連絡提携
      1. (1)伝統歌舞伎保存会と協同して、歌舞伎の技芸の継承のための事業を推進した。
      2. (2)歌舞伎俳優等の著作隣接権処理の円滑化のため、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(略称:芸団協)、一般社団法人映像実演権利者合同機構(略称:PRE)の社員として、権利の保護と、映像コンテンツの円滑な流通を図った。

II. 収益事業

 コロナウイルス感染拡大防止のため、実施せず。

〔事業報告の附属明細書〕

 特に記載する事項は無い。

令和2(2020)年度 財務諸表

令和3(2021)年度 事業計画書 (2021年4月1日~2022年3月31日)

はじめに

 昨年度の事業計画を作成する段階では予測できなかったコロナウイルス感染拡大による影響が、まだ当分の間、続くと予想される。それをどの程度、事業計画に組み入れるのか、難しいところであるが、基本的にはこれまで通り、公益社団法人として、内閣府公益認定等委員会の監督のもとで、厳正な運営をめざすことを第1とし、コロナ禍への配慮も勘案しつつ、定款に明記してあるとおり、わが国の伝統芸術である歌舞伎等の継承発展をめざして、以下の事業を推進し、公益法人としての責務を果たしていく。

事  業

I. 公益目的事業

  1. 【1】稽古費用および自主的発表会の費用の補助
    歌舞伎等の若手俳優が自主的に行うお稽古費用や、個人または小グループで自主的に開く小規模な発表会などの費用の一部を援助する。
  2. 【2】歌舞伎俳優等の顕彰
    1. 1)年間を通じて優秀な舞台成果を上げた名題および名題下の幹部・青年俳優と、舞台の陰で永年尽力した俳優を選び、第22回「日本俳優協会賞」の贈呈・表彰を行う。コロナ禍により昨年度は実施できなかったが、今期は再開する方向で、慎重に準備を進める。
    2. 2)文化庁と連携して、国の褒章・叙勲や、文化庁長官表彰などに、優れた活動を行った俳優や歌舞伎音楽演奏家、舞台スタッフなどを推薦する。
  3. 【3】名題資格審査の実施
    本年は実施年となるが、コロナウイルス感染拡大防止対策を前提に、実施できるか検討する。
  4. 【4】研修発表会の開催
    コロナ禍により昨年度は実施できなかった。本年度も現時点では実施の可能性は低いと思われるが、次年度以降に実施できる可能性を松竹演劇部、歌舞伎座と協議し、準備を進める。
  5. 【5】普及事業(その1)『かぶき手帖』の編集発行
    歌舞伎公式データブック『かぶき手帖』2021年版はコロナ禍による歌舞伎公演の減少で、発行できなかった。今年度は『かぶき手帖2021-22版』(仮称)を令和3年1月2日に発行発売する予定で、準備を進める。編集・発行は松竹株式会社、一般社団法人伝統歌舞伎保存会との共同である。判型は大型文庫版。352頁前後。カラー写真多数。予価1,600円(税込み)。発行部数1万部。現役の歌舞伎俳優全員の最新プロフィールと活動実績、演奏家、作家・演出家などの最新データを調査し、最新舞台写真とともに掲載する。特集は未定。歌舞伎座始め全国主要劇場と一般書店、ホームページで販売する。
  6. 【6】普及事業(その2)インターネット歌舞伎公式サイトの公開と運営
    歌舞伎に関する情報を広く一般国民に提供する公式ホームページ「歌舞伎 on the web」を昨年度にリニューアルして新装公開した。今期はそれをうけて、より安全で安定したサイト運営をめざして、システムの改修と運営体制の見直しを進める。歌舞伎公演や歌舞伎に関する最新情報を収集し、一般に公開する。
    また、昨年のコロナ禍による劇場公演の相次ぐ中止の中で、6月からYouTube公式チャンネル「歌舞伎ましょう」を開始したが、これまでになかった俳優・音楽演奏家とファンを直接に結ぶ新たなチャンネルとして好評なので、令和3年度も引きつづき歌舞伎の普及のために継続していく。
  7. 【7】普及事業(その3)機関誌及び図書の発行
    1. 1)本法人の事業を広く一般に公表し、一般の閲覧に供するため、本法人のホームページを運営公開するとともに、「日俳協ニュース」(随時、発行部数600部)を編集発行し、関係方面および一般に配布する。
    2. 2)会員及び歌舞伎関係の演奏家、作家・演出家、研究者、関連団体、興行・劇場関係などを多数掲載した『俳優手帳』2022年版を編集し、毎年1回12月1日に刊行し、広く関係方面に配布し、利用に供する。
  8. 【8】調査研究事業
    1. 1)公式ホームページ「歌舞伎 on the web」 で公開している「歌舞伎公演データベース」「歌舞伎俳優名鑑」(現役篇・想い出の名優篇)を公開するとともに、常時追加訂正等を行う。
    2. 2)歌舞伎の普及拡大のために「歌舞伎 on the web」 で公開している「歌舞伎演目案内」「歌舞伎用語案内」の運営と更新を行う。
    3. 3)歌舞伎俳優、歌舞伎音楽演奏家、歌舞伎公演等の調査を行い、データベースに蓄積し、「歌舞伎 on the web」のインターネット・コンテンツとして広く一般の利用に供する。
    4. 4)歌舞伎に関する書籍、DVD、新聞雑誌などの資料を収集整理し、会員及び一般の利用に供する。
  9. 【9】歌舞伎等の映像と写真を使用するための権利処理事業
    1. 1)歌舞伎等の映像と写真を使用するための権利処理事業。
      歌舞伎の舞台記録と舞台写真等の出演者の権利を守り、かつ適正な利用を促進するための窓口として、一般からの利用申請を受け付け、一括して許諾を行う。
    2. 2)利用者からの使用料を徴収し、1月から12月までに受領した使用料を翌年3月(年度末)に権利者に分配する。
    3. 3)昨年、コロナ禍による劇場公演の規模縮小などの穴埋めのために、歌舞伎の動画を配信する動きが一気に加速した。こうしたネット時代の新しい利用形態に対応して、適切な利用と分配を行うため、松竹株式会社はじめ日本芸術文化振興会(国立劇場)、各劇場との間で劇場公演等の動画の配信についてのルールを整備するとともに、料金体系の整備をすすめる。
  10. 【10】歌舞伎俳優等の舞台活動の向上のための事業
    1. 1)歌舞伎等の公演が順調に行われるために、歌舞伎俳優等やスタッフの健康管理と安全対策など、芸術活動をすすめるための環境整備事業を行う。
      1. (1)インフルエンザ予防接種
      2. (2)歌舞伎座の地下に設けられた俳優用具保管倉庫の管理については、コロナウイルス感染拡大防止のため昨年度は管理が行き届かず、荷物が乱雑になっているようなので、今後のよりよい公演活動のための環境整備の一環として、利用ルールの見直しを行う。
      3. (3)地方公演における食費補助制度を継続して実施する。昨年度に名古屋御園座、博多座と締結した契約に基づき、本法人事務局で一括預かり、該当者への振込みを行う。
      4. (4)出演者交通費制度を継続して実施し、松竹株式会社および日本芸術文  化振興会(国立劇場)から受領した交通費を名題下俳優に支給する。
      5. (5)医療費補助を実施する。
    2. 2)そのほか、師弟関係や楽屋内でのルールなど、必要に応じて理事会で協議し、松竹株式会社や日本芸術文化振興会(国立劇場)などと協議する。

II. 収益事業(俳優祭)

 コロナ禍により、第39回「俳優祭」が実施できなかった。今年度もコロナウイルス感染の収束が見通せない中で、開催は難しいと思われるが、次年度以降の開催の可能性を松竹株式会社、歌舞伎座と調整し、準備を進める。

III. その他の事業

  1. 1)コロナウイルス感染拡大により「俳優祭」が開催できない状況の中で、今後も公益事業を継続していくために、
    1. (1)ホームページに寄附金募集のページを開設し、歌舞伎の継承発展を支援してくださる有志からのご寄附の受け入れ窓口を開設する。
    2. (2)「俳優祭」に代わる収益事業として、歌舞伎のイベントを動画で有料配信して収益につなげる方策を検討し、実施する。
  2. 2)関係団体との連絡提携
    伝統歌舞伎保存会と協同して、歌舞伎の技芸の継承のための事業を推進する。また、歌舞伎俳優等の著作隣接権処理の円滑化のため、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(略称:芸団協)、一般社団法人映像実演権利者合同機構(略称:PRE)などと連携して、権利の保護と、映像コンテンツの円滑な流通を図る。

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