トップ > 歌舞伎の写真・映像を使用される方へ > 歌舞伎のソフトを利用するための具体的な手順

歌舞伎のソフトを利用するための具体的な手順

歌舞伎のソフトを利用するための具体的な手順

歌舞伎の写真や映像・音声を利用しようとする場合、具体的にどこへ行ってどんな手続きをすればよいか、という手順は、おおむね次のようになります。

1 利用したいソフトの特定

まず、利用したいソフトを探すことが必要となります。
歌舞伎の写真や映像・音声は、主として、こちらの団体・個人が所蔵しています。 そちらへ希望する趣旨に沿ったソフトの存否、利用の可否、条件等をご相談ください。
また、利用しようとする写真や映像・音声がすでに決まっている場合についても、その所蔵者に確認したうえ、貸出しが可能かどうかをお問い合わせください。

2 関係権利者の確認

利用したいソフトが特定され、そのソフトの所蔵者から貸出しができる場合、またはソフトが手元に存在する場合には、次にそのソフトの権利関係を調べることになります。
ソフトの利用にあたって権利処理が必要かどうかは、すべての権利者との関係で調査する必要があります。
権利関係については、まず所蔵者にお問い合わせください。不明な場合には、日本俳優協会でもご相談に応じます。
また、著作権法上、保護期間の経過あるいは権利の制限規定により、許諾を得ることなく利用することができると思われる場合であっても、法的要件に該当するかどうかの判断には難しい面もありますので、念のため、権利者等へ確認されることをお勧めします。

3 日本俳優協会への利用申請

歌舞伎俳優の権利については、日本俳優協会が窓口となっています。
利用したいソフトを特定し、その所蔵者から貸出しを受けることができるか、もしくはすでにソフトを保有している場合は、日本俳優協会を通じて俳優の許諾を得ていただきます。
歌舞伎俳優は、歌舞伎のソフトに関しては、必ず何らかの権利を有しているとお考えください。映画など、いわゆるワン・チャンス主義により権利が及ばないソフトはごく限られています。また、著作隣接権の制限規定により自由利用が認められる場合であっても、実演家人格権は制限を受けませんし、肖像権については別途検討する必要がありますので、ご注意ください。

(1)手続の流れ

  1. 1)使用許諾申請書の受付
  2. 2)権利者である歌舞伎俳優に、利用申請の内容を伝え、許諾の可否、条件等の意向を確認
  3. 3)申請者に対して、関係俳優の意向を踏まえて回答
  4. 4)許諾する場合には、許諾書を発行又は契約を締結
    申請者は、ソフトの所蔵者に対し、日本俳優協会から取得した許諾書、又は締結済みの契約書を提示・提出すると、ソフトの貸出しを受けることができる。
  5. 5)許諾の対価として、日本俳優協会から使用料を請求(有料の場合)
  6. 6)使用料を徴収し、権利者へ分配
  7. 7)申請者から、使用して作成された成果物等の提出を適宜受ける。

なお、実際の手続きにあたっては、協会事務局において、まず利用目的や方法、内容等をチェックさせていただきますが、許諾するかどうか、許諾する場合の条件、使用料の額などについて最終的に判断し決定するのは俳優や権利者であって、協会事務局ではありません。日本俳優協会は、権利者にその都度意向確認をして、これを利用者に伝えるという方法で権利処理手続を行っています。

申請に当たっては、次の点にご留意ください。

  1. ソフトを利用した成果物の発行者と実際にこれを製作する業者が異なるなどソフトの利用に複数の者が関わる場合(放送局と番組制作会社、出版社と書籍の著者、商品のメーカーとパッケージ業者等)においては、権利処理について最終的に日本俳優協会に対して責任を負担する個人又は法人を申請者としてください。
    最終責任者を当事者として、許諾書の発行又は契約の締結をします。
  2. 申請に当たって、利用予定の写真やビデオ等ソフトの現物又は写しが手元にある場合には、これを必ず添付してください。
  3. 利用目的、方法等に関する企画書などの具体的な参考資料がある場合には、申請書に添付してください。

(2)歌舞伎のソフトの使用料について

使用料、手数料等の費用については、利用するソフトの種類、利用の目的・態様等によって異なります。申請の内容等諸事情を踏まえ、その都度判断して決定しています。
基本的には、歌舞伎俳優の権利処理が必要となる利用については、使用料を請求させていただきます。ただし、著作権法上の権利制限規定に該当せず自由利用は認められない場合であっても、公益上の目的が強い場合、学校教育、社会教育、文化活動等を目的とする場合、学術研究を目的とする場合、障害者等の利用を目的とする場合など、日本俳優協会が営利を目的としない利用と認める一定の場合には、使用料の減免をすることがあります。なお、使用料を免除する場合、権利処理手続に必要な実費程度については手数料としてご負担いただきます。
また、公演の報道、宣伝・広報活動への利用の場合には、松竹株式会社と日本俳優協会において別途定める宣伝スタッフ向けのガイドラインに基づき、一定の範囲で無償利用が認められています。ただし、これらの場合にも、事前に届出をし事情説明をしていただく必要があります。
なお、CMなど特定の商品や企業イメージの広報宣伝に利用する場合、Tシャツや雑貨等の商品に肖像を直接利用する場合等については、原則として日本俳優協会においては権利処理手続を行っていません。これらの場合には、対象となる俳優側と直接交渉していただくようお願いします。ただし、当該俳優からの個別の依頼がある場合には、契約交渉のお手伝いをすることは可能です。

(3)手続き完了までに必要な日数

日本俳優協会で利用申請を受け付けてから申請者へ回答をするまでに、実際に必要な日数は、基本的には1週間を目途としていますが、権利者の人数、利用の態様その他申請の内容によって、2週間以上要する場合もあります。
日本俳優協会では、必ず関係権利者の意向を踏まえて権利の処理を行いますので、関係する歌舞伎俳優が地方公演中であったり、休演中、海外に滞在中等の場合、利用申請についての連絡をした後当人の意向が示されるまでに、相当の時間を要します。また、公演の初日前で稽古に集中している場合など、特別の事情によっても、お返事の遅れることがありますので、このような点についてはあらかじめご了承ください。
利用の申請にあたっては、これらの事情を踏まえ、時間的に十分な余裕をもって行っていただくようお願いします。

(4)インターネットでの利用についての考え方

インターネットのホームページなどに写真や映像(動画)・音声が掲載された場合、世界中のインターネットユーザーは、極めて簡単な操作で、瞬時にそれらをダウンロードして自分のパソコンのハードデスク内にコピーして保存することが可能となりました。そのようにして取得した写真や映像・音声を、単に私的に楽しむだけでなく、さらに、特定の第三者に送信することも、自分のホームページ上に掲載してこれを不特定多数の第三者がダウンロードできる状態に送信可能化することも、あるいは印刷して配布したり紙媒体に再利用することも、実に容易いこととなっています。
世界中がネットワークで結ばれ、大量な情報を瞬時にやり取りできるというインターネットの技術は、まさに情報流通に一大変革をもたらしました。その恩恵のすばらしさについてはいうまでもありません。
しかし、同時に、インターネット上に掲載されるコンテンツの権利者にとっては、大量の権利侵害行為がいとも簡単に行われ、しかもその加害者が特定されにくいという危機的状況をもたらしました。また、コピーを繰り返してもほとんど劣化しないというデジタルデータの特性も、ネットの利用者にとっては、歓迎すべきことですが、権利者に対しては、到底看過しがたい莫大な経済的損害を与えることになります。
日本俳優協会では、このような点を踏まえ、歌舞伎俳優の肖像権や著作隣接権等の権利を保護するため、歌舞伎のソフトのインターネットへの利用については、これまで、ごく限られた事例を除き許諾しておりません。
また、日本芸術文化振興会(国立劇場)、松竹(株)、NHK等のソフトの所蔵者においても、インターネットへの利用のためにソフトを貸出すことは、原則として行っていません。
ただ、今後、インターネットの有用性は、ますます無視しがたいものとなっていくものと思われます。学校教育や社会教育のための利用、世界に向けた日本の伝統文化紹介を目的とした情報発信等のために、インターネット上に歌舞伎のソフトを利用することは、積極的に検討されるべきであると考えています(注)。
このため、日本俳優協会では、インターネットでの利用を目的とした許諾申請についても、今後、利用目的や利用方法を見極めたうえで、以下に述べるような厳しい条件付きながら前向きに対応していく方針です。手続を厳格にさせていただくのは、第三者による権利侵害行為の予防と侵害発生時の対応を容易にするためですので、ご了承ください。

  1. 1) 許諾申請の受付は、当面の間、申請者が法人の場合のみとします。
    許諾することができるのは、日本俳優協会において定める基準に照らし、実演家の権利を擁護する姿勢、権利侵害が発生した場合における責任負担能力の有無等を検討し、信頼できるものと判断される法人による利用の場合に限ります。
  2. 2) 申請は、インターネット上で歌舞伎のソフトを利用するサイトの運営者である法人が行うものとします。たとえば、ホームページの作成を請け負う業者などは、申請手続の代行をすることはできますが、申請や許諾の当事者となることはできません。あくまで、ソフトを利用するサイトの運営者の名義と責任において、権利処理を行っていただきます。
  3. 3) 申請手続上、少なくとも次の事項を明記し、必要書類を提出していただきます。
    1. 申請者の法人名、代表者名、住所、電話・FAX番号、メールアドレス、会社の履歴事項全部証明書、会社案内パンフレット等
    2. ソフトを利用するサイトの名称・ドメイン名等サイトの特定に必要な事項
    3. ソフトの使用期間
    4. プロバイダに関する必要な情報
    5. コンテンツをアップロードするサーバーの所在及び管理責任者
    6. 商用配信・非商用配信の別
    7. コンテンツ利用について有償・無償の別
      有償の場合は、その使用料金(会費等も含む)
    8. 利用希望ソフトについて、所定の必要事項を記載したリスト
    9. 利用希望ソフトの著作権者等一覧
    10. コンテンツ利用は会員制か否か
    11. 使用言語(日本語限定か他言語表示もするか)
    12. 不正コピー防止策(電子透かし等コピー防止技術、警告文言の有無等)
  4. 4) 使用の許諾は、次のような点を考慮して判断します。
    1. 他の権利者の許諾の有無
    2. 電子透かし等の違法なコピーへの技術的対策の程度
    3. 掲載する写真の画質を一定レベル(72dpi)以下とし、サイズも限定すること
    4. コンテンツの権利者の表示をするとともに、著作権、著作隣接権、著作者人格権、実演家人格権、肖像権等について、利用者への十分な説明、警告をすること
    5. ユーザーによる不正使用が発覚した場合に、加害者を特定し、権利者の権利侵害の除去、回復等について、権利者と協力して責任をもって対処すること
  5. 5) 使用を許諾する場合には、ソフト使用に関する契約書を締結します。

4 歌舞伎俳優以外の権利者への手続

歌舞伎俳優の権利処理手続と並行して、事前に確認された他の権利者に対しても、権利処理手続を行っていただく必要があります。
関係権利者から許諾を得られない場合には、日本俳優協会へ、その旨を速やかにご連絡ください。

ページの先頭へ